付け八重歯と付け焼き刃って似てるよね

タモリ倶楽部』(2011/12/26)を見た。
 この回のテーマは「付け八重歯」。
 八重歯とは、「歯のわきに重なったように生える歯」だそうだが、だとすれば「八重」歯って盛りすぎだろう。八重どころか、せいぜい二重しかないし。だから、正しくは二重歯とすべきでは?
 しかし、八重にとどめ、十重二十重としなかったのは、名付け親のせめてもの良心だろうか。
 いずれにせよ、白髪三千丈よりは、大分ましだが。

 考えてみれば、八重歯に限らず、女性のチャームポイントとされているアヒル口、口元のほくろ、えくぼ、舌ペロ……、どれも口周辺の“ほころび”である。
 端整さが少し崩れているところに魅力を感じるのだろう(「少し」というのが重要)。
 もちろん、その魅力というのは微妙なバランスの上に成立しているものなので、それに全然魅力を感じない人も多いだろうし、そのバランスが少し崩れただけで台無しになることもある。

 以上をもう少し抽象的な言い方にすれば、秩序・規範からの逸脱に魅力を感じているのだと言える。
 だから、秩序や規範にうるさい海外では八重歯はむしろ忌避される。

・八重歯 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%87%8D%E6%AD%AF
>欧米諸国では、吸血鬼の牙を連想させることから古くから忌み嫌われてきた。

 八重歯が幼さを感じさせるのも、西洋で嫌われる理由の一つであろう。西洋は東洋、特に日本に比べて幼さに非寛容であるから。

 しかし、八重歯やアヒル口には幼さを感じ、口元のほくろにはセクシーさを感じるという違いがあるのは興味深い。
 もしかすると、幼さ(可愛さ)と性的(セクシー)であることは実はそれほど違わないのかもしれない(笑いと恐怖が紙一重であるように)。
 そうだとすると、性的でありかつ禁欲的であるという「萌え」の両義性も理解しやすくなる。ちなみに、萌えの両義性をよく表しているのが、『COMIC LO』のキャッチコピーである。
「YES!ロリータ NO!タッチ」
 これは図像的に表すと、『ルパン三世 カリオストロの城』でルパンがクラリスを抱きしめたいのをぐっとこらえて突き放す場面になる。

・付け八重歯アイドル「TYB48」オーディション開催 | ニコニコニュース
http://news.nicovideo.jp/watch/nw173247